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ラヴァーズ・キス [映画]


スカパーで見て、ツボにはまったというか、「心の琴線をかき鳴らされて」しまった。それも相当激しく。
物語はオムニバス形式で、高校三年生の里伽子(平山綾)と朋章(成宮寛貴)の恋、朋章の後輩・高尾、里伽子の妹・依里子(宮崎あおい)へと視点を変え、そこに里伽子の親友美樹(市川実日子)、高尾の同級生で依里子の仲間でもある篤志(阿部進之介)を絡めて進んでいく。
美樹は里伽子を好きで、依里子は美樹を好き、高尾は朋章が好きで、篤志は高尾が好き、と、相思相愛の里伽子と朋章を核にして、一方通行の片想い(しかも好きな相手は同性)をしている4人がそれぞれの思いを抱えながら取り囲んでいるような図式。

片想い組はみんな真剣なのに、どこかコミカルで、特に高尾と篤志のやりとりには笑ってしまう。
そんな4人の気持ちをよそに、里伽子と朋章は傍目には人もうらやむ恋人同士なんだけれど、朋章は母親の過剰な愛情と束縛から逃れるために街を出ることにしていて、2人は離れ離れにならなくてはならない。
朋章は、里伽子が抱える心に傷に気づいて癒すことは出来ても、自分自身が抱える問題には、まだ逃げることでしか対処できず、彼女のためであっても町に残ることはできない。
どうしても小笠原に行かなくてはいけないのかという里伽子の問いに、「いられないから、鎌倉にはいられないから」と答える朋章の表情が切ないです。
舞台となる鎌倉周辺、夜の海の映像がとても美しいし、サティやドビュッシー、ベートーベンなどの音楽も効果的。同じ場面が視点を変えて何度も出てくる構成も新鮮だった。

見ているうちに、「朋章が小笠原に行くのをやめて、里伽子のもとに残れるといいのに」と思っている自分に気づいて、コメディはともかくとして、(コミカルな部分はあるものの)高校生が主人公の恋愛ドラマにどうしてこんなに感情移入するんだろう?と我ながら不思議だったのだけれど、一つには、この物語の背景の設定にあるかもしれない。
映画の中では、特に何時ごろの話かということは説明はなく、時代を特定する風俗みたいなものは明確には描かれていないけど、携帯電話が一切出てこないことや、服装(特に学生服のズボンの幅とか女子の制服のスカート丈)や髪型、BGMから受けるイメージは、90年代半ば、または前半くらい。
レトロっていうほどでもないけど、「今」でもないという感じ。
そこらへんが入り込みやすかったのかなと思ったりする。

原作に深みがないと、映画化した作品も平面的というか薄っぺらになってしまうことがママあるので、あくまでも原作の良さがあってこそだとは思うのだけど、どちらがより好きかというと映画のほうが好きかな。「ラヴァーズキス」は。
原作を先に読んでいたら、また違った感想になったのかもしれないけど。
映画用の設定の変更(高尾がお寺の息子、里伽子・依里子の家が料亭etc.)も効いていたし、原作にはなかった病室のシーンも良かった。病室のベッドを上下させて遊ぶところが微笑ましい。
月とか夜の海とか波の音などは映像ならでは。
あと、やけに詳細な曽根崎心中の授業とか。
キャストは、依里子と篤志は原作のイメージにかなり近く、美樹と高尾は原作とは違うけど、それぞれの個性が生かされていたと思う。
成宮君が役によって別人に見えるのはもう慣れたけど、高尾役の石垣佑磨くんも「あずみ」とも「ごくせん」とも全然違っていて、いろんな面を出せるんだなと思った。
数々のキスシーン、特に里伽子と朋章のキスシーンの美しさは生身の俳優が演じる強み。
キスシーンの成宮君のあごのラインの美しさには惚れ惚れしました。

成宮寛貴が演じた藤井朋章は、原作の絵よりもかなり線が細く甘いのだけど、学生服の着こなし、髪型、歩き方、ちょっとした立ち止まり方までが80~90年代の漫画から抜け出たみたいだった。
「女の子に人気があって、ニヒルで悪い噂だらけ、でも実は思いやりのあるいい奴」という、80~90年代の少女マンガの王道というか理想的なヒーロー像そのまま。
映画は、原作の漫画というよりも、吉田秋生が過去に描いた「影がある高校生像」を集約して投影したのかなーなんて思ったりした。
ただし、映画の朋章の外見は、吉田秋生というよりも、くらもちふさこの絵のほうが近い感じがするけれど。
ホテルのシーンや、酔いつぶれた里伽子を介抱するシーンは、女の子を扱い慣れている雰囲気を上手く出していたと思う。
「なぁ・・・」という里伽子への呼びかけには、なぜだかドキドキした。
里伽子役の平山あやも原作のイメージとは違うけど、お人形みたいで可愛いくてよかった。
里伽子と朋章の2人が(実際は内面には悩みを抱えていつつも)美しく可愛く幸せそうな恋人同士に見えなくては、他の4人のあれやこれやが生きてこないから。

成宮君は変幻自在でありながら個性も強い俳優だけど、この藤井朋章だけは、なぜだか成宮君が演じていることを忘れて見てしまいます。

個人的には、里伽子と朋章の2人の場面への思い入れが深いけど、それ以外では、朋章、高尾、篤志の3人が絡む音楽室のシーンが3人の微妙な関係と空気がびしびし伝わってきて、面白うてやがて哀しき、という感じで良かった。
まあ、欠点もあるけれど、総じてキライなシーンというのが無い映画です。
(さらなる感想はこちら)

ラヴァーズ・キス

ラヴァーズ・キス

  • 作者: 吉田 秋生
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1999/08
  • メディア: 文庫


映画「ラヴァーズ・キス」オフィシャル・ガイドブック

映画「ラヴァーズ・キス」オフィシャル・ガイドブック

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2003/01
  • メディア: 単行本


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